マリー・アントワネット・ドートリッシュ(1755年11月2日 - 1793年10月16日)は、フランス国王ルイ16世の王妃。
フランス革命前に民衆が貧困と食料難に陥った際にマリー・アントワネット(またはルイ16世の叔母であるヴィクトワール王女)が「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」と発言したとする説を、日本では未だに信じている人間が多い。原文は“Qu'ils mangent de la brioche”、直訳すると「彼らにはブリオッシュを食べさせなさい」となる。お菓子ではなくケーキまたはクロワッサンと言ったという変形もある。なおクロワッサンは、彼女がオーストリアから嫁いだ時にフランスに伝えられたという伝説がある。
しかし、これはマリー・アントワネット自身の言葉ではない。ルソーの『告白』の第6巻に、ワインを飲むためにパンを探したが見つけられないルソーが、“家臣からの「農民にはパンがありません」との発言に対して「それならブリオッシュを食べればよい」とさる大公婦人が答えた”ことを思い出したとあり、この記事が有力な原典のひとつであるといわれている。