エスカレータ(Escalator)とは、主として建物の各階を移動する目的で設置・利用される階段状の輸送機器である。
エスカレータはステップが自動的に動くので、一度乗り込めば次の階に到着するまで立っているだけで良いのだが、急いでいる事を理由に階段を昇降するようにステップを自分で上り下りし移動速度を速める人が多数いるため、左右どちらかの片側(関東、福岡及び北海道、岡山、新幹線乗り場では乗り込む際に左側に立ち右側を空け、関西及び仙台では右側に立ち左側)を空けるのが慣例とされている。これは大阪万博の際に米国にならって左側を空けるようにしたため関西ではそれが定着し、その後首都圏に次々にエスカレータが設置されるにあたっては「追い越しは右側」という習慣によって関東では左右逆となったという経緯があるとされる。ただ、このような習慣がない地域も多い。日本以外でも同様の習慣があり、右側に立ち左側を空けるのが国際的には多数であるといわれている。
しかし、本来エスカレータでの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することを前提とされているため、エスカレータ上での歩行はその振動によってエスカレーターの安全装置が働き、緊急停止することがある。さらに、片側空けは荷重バランスを長時間に亘って崩し、エスカレータに予期せぬ不具合を生じさせる事にもつながる。こうしたエスカレーター自体への不具合に加え、腕の骨折などの要因により、片側の手すりにしかつかまる事のできない人への配慮、また歩行者によってバランスを崩した人が転倒し、それによって将棋倒し事故を招くなど、利用者に対しての危険性も極めて高い。実際、韓国では老人が転落する事故が発生して波紋を呼んだ。
このため、日本エレベータ協会ではエスカレータでの歩行禁止をマナーとして呼びかけている。また、川崎駅前地下街「アゼリア」では過去の将棋倒し事故を教訓とし、歩行禁止を呼びかけている。
(番組評価 75/100へえ)