イギリス人のヘンリー・フォールズ が、1880年にイギリスの科学雑誌ネイチャーに、指紋に関する研究論文を発表したのが、指紋研究の嚆矢といわれている。フォールズは宣教師として1874年に来日し、現在の東京都中央区築地に居を構え、キリスト教の布教を行うと共に、健康社(現在の聖路加国際病院)という医院を開設し、医療活動に従事した医師でもあった。
彼は日本人が拇印を利用して、個人の同一性確認を行っている事に興味を持った。また1877年にモース博士により発見された大森貝塚から出土した、数千年前の土器に付着した古代人の指紋が、現代人のものと変わらない事に感銘を受け、指紋の研究を始めたといわれている。フォールズの研究は日本滞在中に行われ、発表も日本からイギリスへ論文を発送して行われている。この為、フォールズの居住地跡には彼の業績を記念して「指紋研究発祥之地」の記念碑が建てられている。